【開催報告】「製造業 GX、2030 年目標に向けた次の打ち手 実践知から読み解く、Scope1,2 の深掘りと CE を起点とした Scope3 削減アクション」
更新日:1 日前
2026年8月25日、Circular Co-Evolution連携6社(注1)は、GXおよびサステナビリティ経営をともに実現するセミナー「製造業GX、2030年目標に向けた次の打ち手 実践知から読み解く、Scope1,2の深掘りとCEを起点としたScope3削減アクション」を開催しました。
今年度のCircular Co-Evolution(以下CCE)は、サーキュラーエコノミー(以下CE)にGX(グリーントランスフォーメーション)を新たなテーマとして加えています。本セミナーはCEとGXを別々の取り組みではなく、一つの経営課題として捉え直すことを念頭に、前半は「Scope3カテゴリー1・5・12から考える、脱炭素と循環経済の実践策」、後半は「Scope1,2をやり切る、削減余地の探索と刈り取りの実践策」と、Scopeごとに論点を分け、パネルディスカッション形式で支援実績やトレンドを紹介しました。また、セミナー終了後の懇親会は、情報交換やネットワーキングを通じて、参加者同士の交流を深める場となりました。
注1)三井住友ファイナンス&リース、SMFLみらいパートナーズ、アミタ、アビームコンサルティング、サーキュラーリンクス、GXコンシェルジュ
会場の様子

目次 ・ 参加者の声(事後アンケートより) ・ 【オープニング】2030年は「開示の期限」から「実行の期限」へ ・ 【前半テーマ】Scope3カテゴリー1・5・12から考える、脱炭素と循環経済の実践策 ・ 【後半テーマ】Scope1,2をやり切る、削減余地の探索と刈り取りの実践策 ・ 質疑応答と懇親会の様子 ・ おわりに |
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参加者の声(事後アンケートより)
セミナー事後アンケートに寄せられた、参加者の皆さまの声をご紹介します。
脱炭素・CEを「削減活動」にとどめず、事業性やサプライチェーンの構造そのものに接続して捉える視点が、具体的な気づきとして受け止められました。
排出削減に焦点を合わせすぎるのではなく、サーキュラーを追求すれば削減につながっていくものだという気づきがありました
Scope3については、関係のあるサプライチェーンを前提に考えていましたが、実は関係のない会社にとって自社の廃棄物が原料になるかもしれない、というところまで視野を広げて取り組むことが大事であると学ぶことができました
CO2削減策として、空調更新等のオンサイトサービスという選択肢があるという新しい視点を得ました
CO2削減の王道の進め方や、PPAの活用、自家消費への移行など、参考になりました
“削減にとどまらず、事業として成り立たせるという視点”が非常に参考になりました
【オープニング】2030年は「開示の期限」から「実行の期限」へ
冒頭、GXコンシェルジュより、製造業を取り巻く外部環境と時間的な制約をお伝えしました。
2050年カーボンニュートラルに向けた中間目標を2030年に置く企業は多いものの、施策の実行には設計・調達・工事から稼働まで2〜3年を要します。2030年度の実績に効果を乗せるには2028年度までの投資判断が必要であり、残された予算サイクルはごくわずかになってきています。
同時に、SSBJ基準の適用開始(2027年3月期〜)、GX-ETSの本格稼働と2028年度の炭素賦課金、2026年4月に施行された改正資源有効利用促進法など、脱炭素とCEが一体の政策として企業に迫っている状況です。炭素コストは電力料金と素材価格を通じて原価に波及し、取引条件としても顧客・サプライヤーの双方から要請が届くようになると考えられます。開示対応や算定精度といった「守り」の対応は当然となり、企業競争力を左右するのは「攻め」の領域にどれだけ踏み込めるかがポイントである、と強調しました。
オープニング講演資料(9Rフレームワーク/守りから攻めのサステナ推進へ)
(講演資料から抜粋)

【前半テーマ】Scope3カテゴリー1・5・12から考える、脱炭素と循環経済の実践策
前半テーマは、アミタ・SMFLみらいパートナーズが、Scope3のなかでも原材料調達(カテゴリー1)、廃棄物(カテゴリー5)、製品廃棄(カテゴリー12)という、CEの打ち手が直接効く3つのカテゴリーに絞って議論しました。
まず現在地の確認として、「見える化 → 削減計画策定 → 打ち手選定・実行 → 効果検証」の4ステップを提示。多くの企業が計画策定のステップまでは到達している一方、優先順位付けと実行の一歩で止まりやすいこと、その背景には算定が「開示のための報告」に閉じ、現場の打ち手と経営目標が接続されていない構造があることを共有しました。そのうえで、現場の打ち手をInput(調達)/Process(製造・管理)/Output(排出・製品)で棚卸しし、「効率化(コストを減らす)→ 価値化(収益に変える)→ 構造化(事業構造を変える)」の10類型で自社の位置を確認する枠組みを紹介しました。
事例としては、地域由来の廃棄物を原料に活用した大手化学品メーカーの地産地消型製品開発(カテゴリー1)、半導体材料メーカーにおけるシリコンスラリーの再生加工(カテゴリー5)、使用済み製品を市中から回収し鉄資源として再利用する大手日用品メーカーの実証(カテゴリー12)、そしてリース・レンタルを通じて「所有・把握・回収」を一元化するPaaSモデル(カテゴリー1・12)の4件を取り上げました。
4つの事例に共通するのは、処理方法の改善ではなく、調達・製品企画・所有のあり方という本業の構造そのものを変えた結果としてCO2が下がっている点です。「CO2削減のためにCEに取り組む」のではなく、「循環性を高めた結果として排出が減り、経営効果も生まれる」という順序の転換が、前半パートの要諦となりました。
前半パネルディスカッションの様子/サプライチェーン×Scope3の全体像
(講演資料から抜粋)

【後半テーマ】Scope1,2をやり切る、削減余地の探索と刈り取りの実践策
後半は、SMFLみらいパートナーズより、「打てる手は打った」と感じている企業に、なお残る削減余地をどう見つけ、どう刈り取るかを提示しました。
前提となる外部環境として、GX-ETSの上限価格や、非化石証書単価が現在の水準から10倍以上になり得る見通しを共有。毎年の証書コスト上昇を織り込めば、これまで社内基準を満たさなかった省エネ・再エネ投資の採算が変わり得ることを、次の投資判断の論点として示しました。(GXコンシェルジュより提示)
CO2排出量の削減手法については、設備更新、設備改善(燃料転換・電化含む)、再エネ導入、環境価値の調達という順序での脱炭素フローを整理。
燃料転換は、CO2排出係数の低いエネルギーへの転換となるが、現在は電化が主流であり、電化においてはヒートポンプの導入も有効策の1つ。
CO2排出量の大幅削減においては、水素やアンモニア等の利用が有効だが、供給体制やコスト等の観点から、全社の削減計画の主軸に据えるのは時期尚早であるという現実的な時間軸も共有されました。
投資負担への回答として紹介したのが、初期投資や運用維持管理を担うオンサイトサービスです。Scope2削減対策が見込める太陽光発電によるPPAモデルやScope1 削減対策が見込める熱回収型ヒートポンプによる熱エネルギーサービスを展開中。
製薬会社での熱回収ヒートポンプ導入や建材メーカーでの空調システムの燃料転換を伴う老朽更新を、維持管理も含めたオンサイトサービスを活用することで、当該設備投資の平準化や省エネ補助金活用により経済合理性も向上させつつ、生産設備への投資余力を損なわずにScope1,2を削減する事例を示しました。
アンケートでも、オンサイトサービスやPPAという選択肢を「新しい視点」として挙げる声が複数寄せられています。
後半パネルディスカッションの様子/脱炭素フロー(講演資料から抜粋)

【質疑応答と懇親会の様子】
質疑は、お申込み時にいただいたご質問への回答に加え、Zoom上でいただいたご質問もリアルタイムでピックアップ。「Scope1,2の削減に限界を感じている、どこに余地が残っているのか」「BtoBで自社仕様の製品を持たない場合、CEは実現できるのか」「比較的少額の投資でできる取り組みは何か」など、実務に踏み込んだ質問が数多く寄せられ、ディスカッションのなかで登壇者が回答しました。
セミナー後の懇親会では、業種の垣根を越えた対話が途切れることなく続き、登壇者を囲んで自社の状況に引き付けた相談が交わされるなど、終始活気のある時間となりました。会場参加の皆さまからは、セッションでは聞きにくい個別の論点を直接持ち込めた点に手応えがあったとの声をいただいています。
おわりに
今回は、脱炭素とCEを別々のテーマとして扱わず、「循環性を高めることがGHG削減と経営効果の双方につながる」という一つの筋道として提示した点に、これまでにない特徴がありました。アンケートでは、CO2削減を目的化するのではなく構造改革の結果として削減を実現する発想への共感や、廃棄物を他社の原料として捉え直す視点への気づきが多く寄せられ、この掛け合わせが実務の関心に沿っていたことを実感しています。
CCE6社は、構想の整理から投資判断、現場での実装までを一体で支援しています。当日ご参加いただけなかった方も、セミナーの内容と貴社の課題を照らし合わせながらの意見交換をご希望の場合は、ぜひ下記よりお問い合わせください。個別のご相談にも対応しております。
