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【開催報告】第 2 回「循環で稼ぐ ~リコーにおけるリユース事業拡大の裏側を深掘り~」

  • 執筆者の写真: webteam AMITA
    webteam AMITA
  • 4 日前
  • 読了時間: 6分

2025 年 9 月 26 日、全3回サステナビリティ経営をともに実現するセミナーの第 2 弾「循環で稼ぐ ~リコーにおけるリユース事業拡大の裏側を深掘り~」を開催しました。


今回のセミナーでは、株式会社リコー様の環境経営(*)とサーキュラーエコノミーの取り組みを題材に、アミタ・アビームコンサルティングとの対談形式でディスカッションを行いました。リコー様が環境経営の一環として進めてきたリユース・リサイクル事業において直面した課題や、それをどう乗り越え、稼ぐ事業にまで成長させたかについて多角的な視点から議論が展開されました。

リコー様の取り組み紹介には多くの期待が寄せられ、会場には約 30 名が来場、オンラインでは 120 名以上が参加するなど、予想を上回る反響となりました。オンラインからの質問も相次ぎ、会場でも活発な反応が見られるなど、テーマへの関心の高さがうかがえました。

(*)環境経営:環境保全と利益創出を同時実現する経営


会場の様子

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参加者の声(事後アンケートより)


セミナーの事後アンケートに寄せられた、参加者の皆さまの声をご紹介します。


  • リコー様の具体的な取り組みを伺うことができ、有意義であった。ディスカッション形式で要点を深掘りしていただいた点も、理解を深めるうえで効果的であった。

  • 実際の取り組みにおいて、どのような思いで臨み、どのような観点に課題があり、解決に向けてどのような努力がなされたのかを聞くことができ、今後の自社での取り組みに参考となった。

  • 社内推進においては、トップとボトムの両方から進める必要があるという指摘は、まさにその通りであると感じた。

  • 懇親会では、講演会とは異なり気軽に質問ができた点が良かったと感じている。

  • 他業界の方々との交流という貴重な機会を提供いただき、感謝している。

  • 質疑応答の時間を十分に確保していただいたことで、同様の悩みを持つ参加者の質問に対する回答を聞くことができ、大変参考になった。


【講演】リコー様によるサーキュラーエコノミーへの取り組み紹介


冒頭にアミタ宮原より本セミナーの趣旨を説明後、今回のメインである株式会社リコー環境・エネルギー事業センター長釜谷氏より同社のサーキュラーエコノミーへの取り組みに関してご講演いただきました。


講演では、環境分野の事業開発拠点である「リコー環境事業開発センター」と循環型社会実現のためのコンセプト「コメットサークル™」について紹介いただきました。同センターは、全国から年間約3万台の使用済み複写機を回収、うち約1万台を再生しており、業界では世界最大のリユース・リサイクル拠点です。また、製品のライフサイクル全体で環境負荷低減と利益創出を同時に実現する方法について、同社が独自に制定したコメットサークル™に沿って解説いただきました。


講演の様子

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コメットサークル™(リコー様講演資料より)


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【パネルディスカッション】リコーと紐解くサーキュラービジネス収益化までの軌跡


その後、リコー様の取り組みをさらに深掘りするために、以下のテーマに沿ってリコー様、アミタ、アビームコンサルティングの3社によるディスカッションを実施しました。


1.  「リコー」におけるサーキュラーエコノミー実現の足跡

2.   リユース事業の収益化

3.  「再生材利用率」を高める事業戦略

4.  「環境経営」の次なるチャレンジ


ディスカッションの様子

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特に議論が深まった「リユース事業の収益化」と「『再生材利用率』を高める事業戦略」ついて、要点を絞って紹介します。


【リユース事業の収益化】

リコー様のリユース事業では、環境価値と経済合理性の創出に向けて、環境適合設計方針やデータ活用、運用体制に特徴があります。

設計段階から再利用を前提とした「環境適合設計方針」が徹底されており、部品のモジュール化や分解のしやすさを追求することで、再製造時の工数を大幅に削減しています。

さらに、複写機の使用履歴などのデータを活用し、回収時点で再利用可能なユニットを見極める仕組みを導入。これにより、状態の良い製品を効率的に回収し、不要な分解や部品交換、人による判断工数を削減するなど、品質を維持しながら全体の運用効率とコストの最適化を実現しています。

一方、収益化の面では、継続的な改善により原価低減を図りつつ、CO2削減などの環境価値を評価する大手顧客の機運を捉え、営業部門への勉強会を通じて価値訴求を強化。環境価値を収益機会へつなげる取り組みが社内にも浸透している点が印象的でした。


【「再生材利用率」を高める事業戦略】

このパートでは、2030年までに主力製品である画像機器について再生プラスチック使用比率50%達成という目標の背景や、実現に向けた社内の動きが共有されました。この目標はトップダウンで決定されたものの、現場からの提言を経営にしっかり届けた上で進められた点が特徴的でした。きっかけとなったのは、2015年に採択されたSDGsやCOP21での「パリ協定」などの国際的な動きであり、それを受けてリコー様は環境価値を競争力の一つとして位置づける必要性を感じたと語っていました。


この方針に対して、開発・設計部門では「武者震い」のような感覚があったと語られ、従来の延長線では対応できないと判断し、専任のプロジェクト体制を立ち上げて取り組みを加速させました。品質面では品質基準そのものを見直し再定義。コスト面では、樹脂単体でのコスト増を懸念するのではなく、新製品の開発タイミングに合わせて複写機全体でのコスト最適化を図るという戦略が取られています。

このように、環境目標の達成に向けて、トップダウンと現場の創意工夫が融合した取り組みが進められていることが共有されました。



会場でのQ&Aセッションと懇親会の様子


会場限定で実施されたQ&Aセッションでは、リコー様を囲んで実務に踏み込んだ質問が次々と飛び交い、特にリマニュファクチャリングの具体的な運用や品質保証の判断基準について、参加企業から関心が集まりました。リコー様の実践に対する深い理解が進むとともに、現場目線での課題や工夫についての対話が活発に行われました。

セミナー後の懇親会の場では、リコー様のもとに参加者が次々と集まり、途切れなく対話が続くなど、熱気をはらみつつも和やかな雰囲気に包まれました。業種や企業の垣根を越えた交流も盛んに行われ、「直接話すことができてよかった」「つながりができた」「懇親会だからこそ気軽に意見交換できた」といった声が多く寄せられ、有意義な時間となりました。


会場でのQ&Aセッションの様子

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懇親会の様子

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なお、当日ご参加が難しかった方も、セミナーの概要と貴社の抱える課題を照らし合わせたスタイルでの意見交換をご希望の場合は、ぜひ下記よりお問い合わせください。 個別のご相談にも対応しておりますので、お気軽にご連絡いただければ幸いです。


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